食品を守る!軟包装フィルムの選定ポイント ~各層のフィルムの特徴・種類~
食品業界にとって、包装は製品の安全性や鮮度を保つための重要な要素です。フィルムの層構造には、基材層、バリア層、シーラント層の3つがあり、それぞれ異なる役割を果たしています。本コラムでは、各層の詳細な説明と一般的に使用される素材について、分かりやすく解説していきます。
基材層
基材層は、フィルムの主成分であり、全体の強度と剛性を提供します。この層がしっかりしていないと、包装フィルムが破れやすくなり、食品が安全に保存されません。一般的に使用される素材には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PET)などがあります。
ポリエチレン(PE)は、柔軟性が高く、コストパフォーマンスに優れた素材です。そのため、多くの食品包装に利用されています。一方、ポリプロピレン(PP)は、より高い耐熱性を持ち、特にチルド食品のパッケージや電子レンジで加熱可能な製品に適しています。ポリエステル(PET)は、透明度が高く、外観が重視される製品に向いている素材です。
ここで重要なのは、基材層の選択が包装の耐久性や食品の鮮度保持に大きく影響することです。そのため、商品に応じた適切な基材層を選ぶことが、食品衛生管理や流通において非常に重要です。
バリア層
バリア層は、外部からの環境要因—湿気、酸素、光など—から食品を保護するための機能を持っています。食品が酸素や水分に触れることで劣化するため、非常に重要な役割を果たしています。バリア性の高い素材としては、ポリアミド(PA)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、金属蒸着などが使用されます。
ポリアミド(PA)は、高い強度と耐熱性を兼ね備えており、主にパッキングした食品の保存に利用されています。エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)は、特にガスバリア性が高いため、酸素や臭気から食品を守るのに非常に効果的です。また、金属蒸着フィルムは、光や熱を遮断することで、内部の食品を長期間保存できる特性があります。
バリア層の選定は、製品に求められる保存条件や有効期限に大きく関わるため、食品の特性に応じた最適な選択が必要です。この層がしっかり機能することで、商品が市場で求められる鮮度や品質を保つことが可能になります。
シーラント層
シーラント層は、パッケージの密閉性を確保するためのシール層です。密閉性を確保できなかった場合、空気や湿気が侵入しやすくなり、食品の品質向上を妨げる原因となります。一般的には、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)が比較的よく使用されます。
ポリエチレン(PE)は、優れたシール性を持ち、冷蔵食品や冷凍食品の包装によく使われています。ポリプロピレン(PP)は、耐熱性があり、電子レンジ対応のパッケージなどに適しています。
特に、シーラント層の温度設定や圧力調整は、効果的に密封するために重要な要素です。包装後、どれだけ食品が新鮮に保たれるかは、この層に大きく依存するため、シールもしっかりとする必要があります。
フィルムの選び方のポイント
包装フィルムを選ぶ際には、いくつかのポイントを考慮する必要があります。はじめに、バイア性フィルムを選定する前に、実際に入れる食品の特性を理解することです。例えば、酸素や湿気に敏感な製品には、バリア性の高いフィルムが必要です。次に、流通条件や保管温度など、物流面にも配慮する必要があります。
これらの要素を意識することで、有効な包装フィルムを選び、食品の鮮度保持や安全性を最大限に高めることができます。
ケーススタディ:包装フィルムの選定例
実際の事例を挙げると、あるチョコレートメーカーは、サプライチェーン全体での食品劣化を防ぐため、シーラント層にポリプロピレン(PP)を選定しました。また、バリア層としてはEVOHを採用し、酸素の侵入を防ぎました。この結果、チョコレートは賞味期限を最大限延ばし、顧客から高い評価を得ることができました。
このように、フィルムの層ごとの特性を最大限に活用し、具体的なビジネスニーズに合った素材選定を行うことで、企業は競争力を高めることができます。
まとめ
この記事では、フィルムの層構造である基材層、バリア層、シーラント層について、それぞれの役割と一般的に使用される素材を解説しました。食品の鮮度と安全性を保つため、各層の特性を理解し、適切に選定することが重要です。
今後、この記事で学んだポイントを参考にし、自社製品の包装フィルムの選び方を見直してみてください。正しい選定は、商品の価値を高め、消費者の信頼を獲得する一助となることでしょう。



