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食品の包装パッケージの種類ごとの特徴と利点を解説

 食品の品質を長期間保持し、生産工場から消費者の食卓まで安全に届けるために、包装パッケージは極めて重要な役割を担っています。

食品向けのパッケージと一口に言っても、その素材や形状は多種多様です。例えば、高い密封性と堅牢性を誇る「金属缶」をはじめ、お弁当や惣菜、飲料などで馴染み深いプラスチック製や紙製の「トレー」「カップ」といった剛性のある容器(ソリッド容器)が存在します。

そして、それらと並んで現代の食品流通に不可欠となっているのが、「軟包装(なんほうそう)」と呼ばれるカテゴリーに属するフィルム製のパッケージです。前回のコラムで解説した通り、薄く柔軟なプラスチックフィルムを多層に貼り合わせた軟包装は、軽量でありながら酸素や湿気を遮断する高い機能性を持たせることができるため、非常に幅広い食品分野に採用されています。

このフィルム製パッケージの使用形態は、大きく2つのタイプに分類されます。1つは、プラスチックトレーや紙カップといったソリッド容器の開口部を塞ぐ「蓋材」として使用される『トップシール』です。もう1つは、フィルム自体を成形して中に食品を包み込む『袋状のパウチ(袋包装)』です。

本記事では、この軟包装フィルムを用いたパッケージの代表的な形状ごとの特徴と利点について、専門的な視点から詳しく解説します。商品の特性に合わせた最適なパッケージ選定のヒントとしてお役立てください。

目次

  ・トップシール包装(カップやトレーの蓋材)

  ・パウチ(袋状パッケージ)の種類と特徴

  ・平3方袋(ひらさんぽうぶくろ)

  ・合掌袋(ピロー包装)

  ・ガゼット袋

  ・スタンドパック(スタンディングパウチ)

  ・+αの付属機能:再封性を高める「チャック付き」オプション

  ・平袋

  ・電子レンジ対応!進化する機能性パッケージ「スマートスチーム」

  ・まとめ

トップシール包装(カップ・トレーの蓋材)

 トップシール包装とは、プラスチックや紙などで作られた剛性のあるトレーやカップ(ソリッド容器)の上面(トップ)の縁に対して、蓋材となるフィルムを熱圧着(ヒートシール)して密閉する包装形態です。スーパーやコンビニエンスストアに並ぶ多くのチルド食品や惣菜、飲料で利用されています。

特徴と利点

  • 容器剛性による内容物の物理的保護:
    ベースとなる容器がしっかりとした立体形状を保っているため、ゼリーやプリン、豆腐、あるいは盛り付けが崩れやすい惣菜や弁当など、柔らかく形を保ちたい食品を物理的な衝撃や圧力から保護するのに最適です。
  • 視覚的訴求と鮮度保持:
    蓋材に透明なフィルムを使用して中身の美味しそうな見た目を直接アピールしたり、逆に美しいグラビア印刷を施して高級感を演出したりすることが可能です。また、バリア性の高いトップシールフィルムを用い、容器内の空気を窒素や炭酸ガスなどの不活性ガスに置き換える「ガス置換包装(MAP)」を行うことで、酸化やカビの増殖を防ぎ、食品の鮮度を長期間維持することができます。
  • 高い利便性:
    消費者がトップシールフィルムをピリッと剥がして、容器をお皿代わりにそのまま直に食べることができるため、個食化や時短が求められる現代のニーズに非常にマッチしています。また、ストローを突き刺して飲むタイプのチルドカップ飲料などにも広く応用されています。

パウチ(袋状パッケージ)の種類と特徴

 軟包装のもう一つの大きな柱が、多層フィルムを製袋して作られる「パウチ(袋状パッケージ)」です。内容物の物性(個形物、粉末、液体など)や容量、店頭での陳列方法に合わせて、多様な製袋手法が存在します。ここでは代表的な4つの形状と、利便性を高める付属機能について解説します。

平3方袋(ひらさんぽうぶくろ)

 3方袋は、2枚のフィルムを重ね合わせるか、1枚のフィルムを二つ折りにして、底面と両側面の計3辺(3方)をヒートシールして作られる、最もシンプルで平坦なパウチです。

特徴と利点

  • 厚みを持たない平らな形状のため、レトルトカレーやパスタソース、スープ、ふりかけ、スライスハムなど、比較的薄いものや少量の食品の包装に適しています。製袋速度が速く、コストパフォーマンスに優れている点も大きなメリットです。また、かさばらないため、段ボールに無駄なく箱詰めでき、輸送時や家庭での保管時にも省スペースで済みます。

合掌袋(ピロー包装)

1枚の平らなフィルムを筒状に丸め、裏側でフィルムの端と端を背中合わせにシール(合掌貼り)し、さらに筒の上下の端をシールする包装形態です。空気が入った状態が枕(ピロー)に似ていることから、ピロー包装とも呼ばれます。

特徴と利点

  • ポテトチップスなどのスナック菓子、キャンディ、個包装のパン、冷凍食品(チャーハンやパスタなど)など、私たちの生活で最もよく目にする袋の一つです。横型や縦型のピロー包装機を用い、フィルムを成形しながら食品を連続的に充填していくため、高速・大量生産に非常に適しています。スナック菓子などでは、ガス置換を行って袋を意図的に膨らませることで、中身が割れるのを防ぐクッションの役割も持たせています。

ガゼット袋

ガゼット袋は、袋の側面(サイドガゼット)または底部(ボトムガゼット)に「マチ(折り込み)」を設けた包装形態です。中に食品を入れるとマチが広がり、立体的な箱型に近い形状になります。

特徴と利点

  • マチがあることで、見た目の正面サイズに対して非常に多くの内容物を収納できる「容量の確保」が最大の利点です。また、中身を充填すると重心が低くなり自立しやすくなるため、店頭での陳列時の安定性にも優れています。お茶の葉、コーヒー豆、クッキーやおかきなどの焼き菓子、さらにはペットフードまで、かさばる食品のパッケージとして幅広く採用されています。

スタンドパック(スタンディングパウチ)

袋の底部に舟形のマチ(底ガゼット)が組み込まれており、内容物を充填すると底面が楕円状に広がって完全に自立(スタンド)する袋です。

特徴と利点

  • 自立するため店頭の棚や家庭の冷蔵庫・パントリーでの陳列見栄えが良く、省スペースで美しく保管できるのが特長です。また、上部に樹脂製の注ぎ口(スパウト)を取り付けることも容易で、ゼリー飲料や液状調味料から、シャンプーなどの日用品の詰め替え容器に至るまで、多用途に使用されています。液体、粉末、固形物を問わず対応できる極めて汎用性の高いパッケージです。

+αの付属機能                            :再封性を高める「チャック付き」オプション

上記の「平3方袋」「合掌袋(ピロー)」「ガゼット袋」「スタンドパック」のいずれの形状においても、パッケージの開口部にプラスチック製のジッパー(チャック)を取り付けることが可能です。
チャック付きパウチは、消費者が一度開封した後でも簡単に密閉し直すことができる「再封可能性」を付与します。これにより、一度に食べきれないドライフルーツ、ナッツ、チョコレート、シリアル、または粉末調味料や冷凍野菜など、複数回に分けて使用する食品の保存利便性が飛躍的に向上します。外部からの湿気や酸素の侵入を簡易的に防ぐことができるため、バリアフィルムの性能を損なうことなく長期間の利用が可能となります。

平袋

ここまで紹介した積層フィルム(ドライラミネート)を用いた各種パウチとは別に、食品包装において非常に広く使われている基本的なパッケージとしてマチのない「平袋(ひらぶくろ)」が挙げられます。平袋の製造において特筆すべきなのが、「インフレーションフィルム成形」という製膜方式の存在です。

インフレーションフィルム成形とは、熱でドロドロに溶かした樹脂(主にポリエチレンなど)を円筒状の金型から押し出し、その内側から空気を吹き込んで、風船のように大きくチューブ状に膨らませながら冷却してフィルムにする製法です。最初から筒状のフィルムが形成されるため、必要な長さにカットして底を熱圧着(ヒートシール)するだけで、極めて効率的に袋(平袋)を製造できるという大きな利点があります。

この方式で作られた平袋の用途は驚くほど幅広いです。例えば、スーパーマーケットのサッカー台(袋詰め台)に設置されている、生鮮食品や水気のあるものを入れる極薄の「ロール袋」や「レジロール」と呼ばれる袋は、このインフレーション成形で大量生産された平袋の代表例です。

一方で、樹脂の配合を変えたりフィルムの厚みを大幅に増したりすることで、5kgから30kgといった重量物を入れるための「重袋(じゅうたい)」としても活躍します。お米や業務用の小麦粉、砂糖、さらには樹脂ペレットや肥料などを入れる頑丈な大容量パッケージがこれに該当します。
インフレーション成形で作られたフィルムは、縦横の分子配向バランスが良く、柔軟でありながら「引き裂き強度」や「突き刺し(ピンホール)に対する耐性」が非常に高いという特性を持ちます。そのため、極薄のロール袋であっても破れにくく、分厚い重袋であれば重量物を持ち上げて運搬しても安全に中身を保護できる、極めて頼もしいパッケージ技術なのです。

電子レンジ対応!進化する機能性パッケージ              「スマートスチーム」    

近年、軟包装フィルムは単なる「形状」の違いだけでなく、その「機能性」においても目覚ましい進化を遂げています。その代表例が、大和製罐株式会社が開発した電子レンジ向け自動蒸通フィルム「スマートスチーム」です。

冷凍食品やチルド食品を電子レンジで加熱する際、これまではパッケージ内の水分が水蒸気となって膨張し、袋が破裂するのを防ぐために「事前に袋の端を少し切る(ちょい開け)」などの手間が必要でした。しかし、スマートスチームは事前の開封が一切不要です。密封したままレンジで加熱し、内部の蒸気圧が一定に高まると、フィルムに施された特殊加工部だけが自動的に開口し、安全かつ静かに蒸気を外へ逃がします。

この技術の素晴らしい点は、前述した多様なパッケージ形状のほとんどに適用可能であるということです。
ソリッド容器に蓋をする「トップシール」はもちろんのこと、「平3方袋」「合掌袋(ピロー)」「スタンドパック」などの各種パウチに対しても、スマートスチームの自動蒸通機能を組み込むことができます。
どの形状に適用した場合でも、微小な蒸気口が内部に適度な圧力を保つため、蒸し調理のような効果(スチーム効果)が働き、加熱ムラを防いで食品をふっくらと美味しく仕上げます。また、電子レンジから取り出す際の火傷リスクを低減する効果もあります。

まとめ

この記事では、食品の軟包装パッケージの形状について、ソリッド容器を密閉するトップシールや、各種パウチ(平3方袋、合掌袋、ガゼット袋、スタンドパックとそのチャック付きオプション)、さらには重量物を強靭に支える重袋など、それぞれの特徴と利点を詳しく解説しました。

パッケージの形状選定には、内容物の保護、店頭でのアピール力、消費者の利便性向上、そして何より「食品の品質と安全性の保持」という極めて重要な目的があります。
前回のコラムで解説した「フィルム各層の素材選定(バリア性やシール性)」と、今回解説した「最適なパッケージ形状の選定」、さらにはスマートスチームのような「付加価値機能」を掛け合わせることで、企業は自社製品の魅力を最大限に引き出すことができます。これらの知識を活かし、商品価値を高めるパッケージングを追求していきましょう。

高橋咲
高橋咲
・容器包装に関する加工方法の技術職として、研究開発に携わる。 ・電子レンジ向け自動蒸気抜きフィルム「スマートスチーム」や新規包材の開発を担当